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2024年05月19日
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山月記の夜 サルベージ

2013年11月06日
おぴさしぶりです。
こっちもボチボチ稼働してるんですよ。
いや、1年ぶりくらいの稼働ですけれども。

山月記の夜、ご来場ありがとうございました。
HPの方でもお礼いってないのに、こっちが先だとか…

HPの方はちまちまお礼書いているんです。
かいているんだけど、終わらなくてm(__)m

ともあれ、こっちはこっちですので。
脚本書いている時には、あちこちにテキストデータが乱立します。
ちょっと思いついてはメモり、溜め込み、何処に溜め込んだか忘れて、記憶を手繰ってシーン書いたりとか日常茶飯事です。
んで、次の本を書くときに、前のデータ発掘したりして、片付けたり捨てたり、或いは新しい本に流用したりします。

んで、タイトル通り「山月記の夜」の執筆初期段階(禁酒會館に公演場所を決定する前)ラストイメージ文が出てきたので、サルベージしとこうかなって。
多分、これは「山月記」を語る研究者達ってイメージの話でした。
白い部屋、白い服、間接照明のセットの中で、彼らは自分と物語を重ねながら、山月記を語ります。

サルベージといっても、ほんと、一部分だけです。

意味もわからない一部分。
イメージだけの文章、折りたたみから見られます。

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山月記の一部を演じているシーンのようです、が、完全につくってます。
去ろうとする李徴(虎)とおぼしきモノに、エンサン(かつての友人)とおぼしき人物が語りかけます。
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『まって、待ってもう少し。あなたが何かわからない力でもって虎となったのであれば、人となることもまた可能なのではないか。』
「それだけはいうな、それだけは聞きたくなかった。」

虎は低く唸るように彼の言葉を止め、言葉を続けた。

「もし今、人に戻れると言う魔法の秘薬が目の前にあったとして、私がそれを即座に飲むと、君は思うのか。」
長い沈黙。虎の事情を己の事情と置き換え、深く考えこむ彼は、やがて
『なんということを言ってしまったのだ。なんという事を言ってしまったのだ私は。』
 
そう、呟いた。彼は気付いたのだ、何故、目の前のソレ(虎でも人でもない、或いは虎にも人にもなれるその存在)が叢の中、身動きもせず苦悩し続けて居るのかと云うことに。
 
「人であった時、私は苦悩の渦中にあった。生きること、ただそれだけの事に苦しんでいたのだ。いっそこの生命を断ってしまうことができたら、そう思い、そしてそんな勇気も持てずただ悶々と生きていた。
そして虎となった今でさえそれは変わらない。虎となることも、人に戻ることさえも、私は出来ずにただ生きている。生きたくないと嘆きながら生きている。ああ、私はなんと無駄な生を得たのだろうか。なんと無意味な時を過ごしているのだろうか。」

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人であっても苦悩し、虎であっても苦悩する。そんなイメージを持ってたみたいです。
どっちにしろ、アレコレ理由をつけても、今を選んでいるのは自分なんでしょ?という虎に対して冷たい目線です。

次は、多分ラストの最後のセリフイメージ。

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「僕はアレを嫌いにはなれないよ。愚かだと笑うことも、蔑むこともできない。だってアレは僕じゃないか。苦しんでいるのも諦めているのも足掻いているのも、全部ボクじゃないか。僕にはあれをどう思うこともできない。ただ、空に雲が流れるように、木々が風に揺れるように、荒地に芽吹く小さな双葉が知らぬ内に大木へと成長するように、ただ、それをそういうこともあるのだなぁと、見ているだけさ。だって君、もしアレに何かを思うとしたら、何かを思ってしまったら…十中八九僕はアレを否定してしまう。そんなことになったら君、それこそ今度は…」
 
遠く虎の咆哮。彼の顔を残し明かりは収束し、やがてそれも闇に溶けこむように消えていった。

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 これは、基本、出来上がった「山月記の夜」のラストと変わりません。ただ、男はこれほどまでに語らなかったですけどね。
 おそらく研究者達が山月記について語り、最後に自分たちと物語を重ね、その内の一人がつぶやく言葉のようです。
 ラストの言葉は「それこそ今度は、僕が…虎になる」の途中止めでしょうね。
 頑なな心は、人を虎にするとそういうオチのようですが、完全に演劇向けに作られたホールで演じる事を考えたシチュエーションですね。
 このセリフを読んでいると、ある舞台セットが頭に浮かびます。おそらく、そういうセットはつくれないと判断したのと『研究者達が山月記を語る』という非常にハードルが高い知的な作りは私にはムリだという判断で、このシチュエーションは早々にボツとなりました。
 あと、研究者のイメージは大学院生くらいの年齢層だったしね( ゚Д゚)y─┛~~

 うちでは、ムリ。

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Comment
山月記の拠るトコロ。
う~ん、奥が深いのですね。もう2・3回「山月記の夜」を観たくなりました。
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